2025.10.04
栄養療法

3ヶ月間ほどで劇的に改善した16歳女性 副腎皮質機能低下症+うつ病

16歳高校1年の女性。

中学1年の時に起立性調節障害と他院で診断されている。複数の医療機関、鍼灸院などを受診するが軽快せず。

高校1年になり、症状が増悪してきた。

食思不振(3-4割)、朝方に多い腹痛・嘔気・頭痛、夕方にはこれらが改善する。

マイナス思考。学校に行けない。

症状経過より副腎皮質機能低下症およびうつ病と臨床診断し、コートリル20mg/朝+ジェイゾロフト25mg/夕を開始。

【1週間後】
コートリル20mg/朝を服用開始し、朝起きられるようになった。

頑張って7時から8時には身体を起こして服薬し、午前中は横にならないようにしてください。

治療の3本柱はクスリ、食事、運動、です。

【2週間後】

やっぱり嘔気や不安感のために朝起きるのが難しいとのこと。

不安感に対し、ジェイゾロフトは25→50mgに増量。
L/D;Hb13.7/MCV85 Fe95/ferritin58.6 BUN10.9/Cr0.72 ALP61 AST14/ALT11 LDH160。

コレステロール豊富な卵、赤身の肉・魚をなんとか摂取して。

加えて、鉄、Mg、B群、ナイアシンをサプリメントから補充下さい。

【3週間後】

食欲が回復してきている。

朝は8時半には起きられている。

不安感も緩和している。

【5週間後】

22時に就眠、7時には起きられている。

食欲は旺盛。サプリメントも摂取している。

経過良好につきコートリル20mg/朝、ジェイゾロフト25mg/夕に各々減量。

【7週間後】

さらに症状軽快。自信ありげな表情。

コートリルは10mg/朝へ。

クスリは減ってきましたが、サプリメント療法は半年間程度は続けましょうね。

【14週間後】

調子よく、ジェイゾロフト25mg/夕は中止してみたが問題なしという。

コートリルも中止の方向で検討ください。
終診。以後受診なし。

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初診時の症状を考えると、3ヶ月間で終診にまで至るのはかなりうまくいった方である。

半年から1年、長いと数年間、治療期間を要する場合もあり、むしろそちらの方が普通。

生来の体質や、これまでの取り組みによる栄養の充足度合い、などが関連していると推測される。

年齢や性別を考慮すると、なるべくクスリを使いたくないのは山々であるが、「食べられない」レベルにまでホルモンの不足が深刻だと、望ましい栄養について指導したとしても、これが摂取できない。

本症例がそうだったように、最初は素直に補充した方がスムースである。

最初はクスリを用いるが、なるべく短期間で減量し、最終的には中止に向かう。

サプリメントも同様に中止を目指すが、クスリを卒業しても当面は続ける方が無難。

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